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金沢地方裁判所 昭和47年(わ)55号 判決 1972年7月27日

本籍

石川県能美郡寺井町粟生チ一四四番地

住居

同県同郡同町粟生ニ七〇番地

会社員

吉光修一

昭和二年六月二二日生

右被告人に対する所得税法違反被告事件について当裁判所は検察官澤江俊昭出席のうえ審理をし、つぎのとおり判決する。

主文

被告人を懲役六月および罰金一五〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金三、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、石川県能美郡寺井町粟生ニ七〇番地において、吉光他治が営んでいた土石の採取販売および土建業等の業務全般を統括指揮していたものであるが、同人の業務に関し、同人の所得税を免れようと企て、

第一、昭和四三年中の右吉光他治の所得金額は一九、三九八、六五二円で、これに対する所得税額は八、七九八、二〇〇円であるのに、売上の一部を帳簿に記裁せず所得計算から除外するなどの方法により、その所得の一部を秘匿し、昭和四四年三月一四日所轄小松税務署において、同税務署長に対し、右吉光他治の昭和四三年分の所得税の確定申告をなすに当り、同人の所得金額は一〇、八三九、六〇七円で、これに対する所得税額は四、〇九〇、八〇〇円である旨過少に記載した内容虚偽の確定申告書を提出し、もつて詐欺不正の手段により、同人の前記真実の所得金額に対する所得税額と右虚偽の申告所得金額に対する所得税額との差額に相当する所得税額四、七〇七、四〇〇円をほ脱し、

第二、昭和四四年中の右吉光他治の所得金額は一八、二六一、六三六円で、これに対する所得税額は八、〇一五、八〇〇円であるのに、前同様の方法によつて、その所得の一部を秘匿し、昭和四五年三月一四日所轄小松税務署において、同税務署長に対し、右吉光他治の昭和四四年分の所得税の確定申告をなすに当り、同人の所得金額は一一、一四九、五二八円で、これに対する所得税額は四、一〇四、二〇〇円である旨過少に記載した内容虚偽の確定申告書を提出し、もつて詐欺不正の手段により、同人の前記真実の所得金額に対する所得税額と右虚偽の申告所得金額に対する所得税額との差額に相当する所得税額三、九一一、六〇〇円をほ脱し、

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の大蔵事務官に対する各質問顛末書並びに検察官に対する各供述調書

一、証人大田成博の当公判廷における供述

一、大蔵事務官作成の証明書四通並びに査察事件調査事績報告書

一、検察官及び弁護人作成の合意書面

(法令の適用)

所得税法二三八条一項(一二〇条一項三号)

併合加重 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項

懲役刑の執行猶予 同法二五条一項

罰金刑換刑 刑法一八条

訴訟費用の負担 刑訴法一八一条一項本文

(裁判官 河合長志)

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